邦楽ロックのMVを漁っていると、ふと気づくことがある。「また学校かよ」と。

教室、廊下、屋上、体育館、音楽室。バンドが違うのに、なぜか似たような景色が繰り返される。最初は「青春っぽくていいな」と思っていたのが、数を重ねるうちに「これ、もはや様式美では?」という気持ちになってくる。

実際どのくらいのバンドが学校をMVに使っているのか、インディーズを中心に調べてみた。

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 こんなにいた、学校MV使用バンド

go!go!vanillas

「エマ」は、メジャーデビュー1曲目から女子高生が登場する学校MV。ポジティブ全開な映像で、バニラズのイメージを一気に確立した。

パスピエ

「つくり囃子」は少し変わっていて、当時メンバーが顔出しNGだったため、狐の面をつけたまま学校の廊下や屋上を歩くという異色の仕上がり。それでもロケ地は学校だ。

POT

「Sunday」は、POTの代表曲のひとつ。「今しかできないことを探せ」というメッセージを軸に、何気ない日常のもどかしさと衝動を等身大の言葉で描いたナンバーだ。MVはメンバーが機材を運び、スタジオや屋外でひたすら演奏する姿を映したもので、飾り気のない熱量がそのまま画面ににじみ出ている。バンドのエネルギーを一番シンプルに体感できる一曲。

Nulbarich

「ain’t on the map yet」は、女性教師に恋した少年が学校でダンスを披露するという内容で、ラストに「全部妄想でした」オチがつく。舞台はもちろん学校。

703号室

「偽物勇者」は、当時在籍していた専門学校の友人を招いて撮影した完全DIY作品。低予算ながらSNSでバズり、学校MV=バズの方程式をある意味で証明した。

メジャーどころでも、クリープハイプ、SHISHAMO、Mrs. GREEN APPLE、SCANDAL、GOING STEADYなどが学校を舞台にしたMVを複数制作している。ざっくり数えただけでも、すぐに10組以上が出てくる。

なぜこんなに多いのか

正直最初は「若者ウケを狙った安易な選択では」と思っていた。でも調べてみると、それなりの理由がある。

コストの問題

インディーズバンドにとって、MVの撮影予算は常に悩みの種だ。おしゃれなスタジオや海外ロケなど夢のまた夢。その点、廃校や母校は格安、あるいは無料で借りられるケースが多い。全国で廃校のロケ地活用が進んでおり、撮影スタジオとして開放している物件も増えている。インディーズバンドにとって、学校は「手が届く最強のロケ地」なのだ。

ターゲット層への直撃

邦楽ロックの主なリスナーは10〜20代。学校という空間は、彼らにとってリアルな日常か、ほんの少し前の記憶だ。教室が映るだけで「わかる」という感情が生まれる。MVにおける学校は、共感を最速で引き出すための記号として機能している。

歌詞の世界とロケ地が自動的に一致する

邦楽ロックの歌詞には「青春」「孤独」「恋」「仲間」といったテーマが多い。そしてそれらのテーマを象徴する場所として、社会的に共有されたイメージが「学校」だ。歌詞と映像がぶつかることなく自然に溶け合う。監督にとっても演出の最適解になりやすい。

別に悪いことじゃないけれど

学校MVが多い理由は、コスト・共感・テーマの一致という三拍子が揃っているからだ。合理的だし、実際に効果もある。

ただ、見続けていると「また教室か」という慣れが生まれるのも事実。本当に刺さるMVというのは、ロケ地の選択から「なぜここなのか」を感じさせてくれる。学校を使うにしても、POTの「Sunday」やパスピエの「つくり囃子」のように、そこにバンドらしさや必然性があると、ただの学校MVではなくなるのかなとは思う。

多いのは悪いことじゃない。でも、見る側としては「なぜ学校なのか」を問い続けたい。

ではまた。