「どんな音楽流行ってるの?」と聞かれて、バンド名を答えた瞬間に相手の顔が「?」になる。そういうバンドが邦楽インディーズシーンには異常に多い。

今や「それ、バンド名?曲名?」と混乱させてくる名前のバンドが続々と存在する。今回はメジャーどころは除いて、インディーズ中心に「バンド名だけでは何もわからない」バンドを紹介する。

プールと銃口

「プール」と「銃口」という、何の接点もない二つの名詞を「と」で繋いだだけのバンド名。プールで誰かが撃たれたのか、銃の形がプールに似ているのか、何も解決しないまま2012年結成の3ピースギターロックバンドという事実だけが残る。

さわやかな男女ツインボーカルと変拍子を交えた自在なメロディが持ち味で、サウンドの気持ちよさとバンド名の物騒さのギャップが際立つ。「プールと銃口です」とライブで名乗った瞬間の空気を想像すると面白い。

17歳とベルリンの壁

「17歳」と「ベルリンの壁」。年齢と歴史的建造物をくっつけた名前で、2013年始動の男女ツインボーカル&ツインギターバンドだ。略して呼ぶ方法が存在しない。「17ベル」?「ベルリン?」友人に勧める際に必ず詰まる。

音楽性はシューゲイザーを基調としたドリームポップで、低体温なボーカルが特徴。冷戦時代の壁とローファイなギターポップが、なぜ17歳で繋がるのかは永遠に謎のまま。でも曲は良い。

密会と耳鳴り

「密会」の時点でドラマの見出し感があるのに、「耳鳴り」まで足してくる。2012年結成の4人組ガールズバンドで、前身バンド名が「失禁少女」という事実もある。通称は「みみみ」で、これはこれで何も伝わらない。

自称「オルタナティブバイオレンスパンクバンド」で、こじらせた歌詞と分厚いサウンドが特徴。バンド名の物騒さはある意味で正確な自己紹介だったのかもしれない。

水中、それは苦しい

ライブハウスのMCを想像してほしい。「どうも、水中、それは苦しいです!」。客席から「そうですね…」という静かな同意が返ってきそうな一文がそのままバンド名になっている。

メンバーの名前も「ジョニー大蔵大臣」「セクシーパスタ林三」「アナーキー吉田」と、全員がバンド名に負けていない。早稲田・東京外大卒などのインテリ揃いで、ギター・バイオリン・ドラムという変則編成でシュールなロックを鳴らす。名前のインパクトに隠れているが、演奏は本格派だ。

音速ばばあ

「音速」まではギリギリ許容範囲がある。速い何かを連想できる。しかし「ばばあ」。バンド名の後半でまさかの高齢女性が登場する。茨城出身の4人組で2021年活動開始、エモロックバンドだ。

「音速ばばあのライブ行ってきた」という一文は文脈なしに読むと何も意味をなさない。「バンド名のインパクトとは裏腹に、哀愁爆裂の本気エモサウンド」と評されており、名前と中身のギャップが全バンド中ぶっちぎりのトップ。知名度がまだ低いのが信じられないレベルで曲が良い。

これも相当やばい

嘘とカメレオン→ 概念と生き物の組み合わせ。バンド名か哲学的命題か判断できない。

3markets\[\](スリーマーケッツ) → 括弧の「\[\]」は何を意味するのか。市場が3つあって何かが空欄になっている。

KARASU is MASSHIRO → カラスは黒いのでは?という突っ込みを内包したままバンド名にしている。

忘れらんねえよ → ひらがなで書かれた関東弁。バンド名に見えない。でも実はメジャーデビューもしている。

まとめ

名前が意味不明だからこそ検索するし、聴いてみるし、「こんな音楽やってたのか」という驚きが生まれる。インディーズシーンの命名センスは、一種の入口戦略なのかもしれない。

「それ、バンド名?」と聞かれたとき、「そう。聴いてみてよ」と返せればそれで十分だ。

ではまた。

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